2011年 季節の食を知る 管理栄養士コラム

季節の食を知る:管理栄養士の後藤恭子さんからの季節コラムです。毎月、旬の食材や行事食・トピックスなどをお届けします!

冬:お酒

みなさんこんにちは!今年も早いものでもう最後の月になり、寒さも本格的になります。くれぐれも風邪などひきませんよう注意してくださいね。これからはクリスマス、忘年会、新年会、歓送迎会などなど~飲む機会が目白押しではないでしょうか?飲むほどに、酔うほどに、あれ?体重が~、ベルトが~とならないように今回と次回はお酒のお話しです。
アルコールは、お酒の主成分である他に、殺菌消毒作用、燃料などにも幅広く使われています。様々な性質をもっていますが、アルコールだけの唯一の特性は『飲んで酔う』と言うことです。適度のアルコールは、食欲を増進させたり、消化を促進したり、血液の流れをよくする働きがあります。ただし、適量を超えて飲み続けると身体に悪い影響を与えます。特に二日酔いが重なるような飲み方を続けると肝臓を傷め、ついには精神異常をきたすこともあります。
【適量とは】
健康診断などで「お酒はほどほどに」と注意された経験のある方は多いことでしょう。「ほどほどって?」自分では「ほどほど」の量と思いながら、実際は飲みすぎていることが多いですね~。「適量」とは、「健康日本21」では、純アルコールで1日平均約20gを「節度ある適度な飲酒」としています。
アルコール20gの目安量は、ビール中瓶1本強(540ml)。清酒1合弱(160ml)。ワイングラス2杯弱(220ml)。ウイスキー、ブランデーダブル(60ml)。焼酎(35度)半合弱(70ml)「ほどほどに」に注意して、健康的な飲み方を習慣にしましょう。
【お酒の種類】
○醸造酒…糖質を発酵させて、アルコールを含有する発酵液をそのまま、またはろ過したもの。日本酒、ビール、ワイン、紹興酒など。
○蒸留酒…醸造酒や発酵によってできたアルコール含有物を蒸留して得たアルコールを適度な濃度に調整したもの。ウイスキー、ブランデー、焼酎、ウオッカ、ラムなど。
○混成酒…醸造酒や蒸留酒などに、香辛料、糖類、着色料などを加えたもの。みりん、甘味果実酒、リキュールなど。
醸造酒にはアルコール以外の原料の残りや発酵でできた様々な成分を含んでいるのに対し、蒸留酒はそうした成分を殆ど含んでいないためプリン体が少なく、相対的にカロリーが低めという特徴があります。醸造酒特にビールはプリン体など痛風を持つ人に対しては不都合な物質を含んでいますが、ビタミンやアミノ酸を含んでいるのが特長です。また、混成酒はハーブや薬草の成分あるいは果実成分など様々な植物成分を含むなどの特徴があります。飲む人それぞれの健康状態に応じて、お酒の持つ特徴やリスクを考えて選択するとよいでしょう。


秋:食事のバランス

みなさんこんにちは!残暑厳しい日が続いていますが、お変わりございませんか?
暑さで食欲も無く、ちょうど夏の疲れが出るころですね~しかし歴の上では、8月8日は立秋、23日は処暑(暑さが落ち着くころ)でした。9月に入りますと、8日白露(野の草に霜が宿り始める頃)、23日秋分の日(昼夜の長さが同じ)。10月9日寒露(露が冷気にあたって凍る頃)、24日霜降(霜が降り始める頃)。11月8日立冬(冬の到来)、23日小雪(雪が舞い始める頃)。となっています。
食欲の秋!スポーツの秋!芸術の秋!秋は楽しみがいっぱいですね!
暑さのため、さっぱりしたものや冷たいものばかり食べていたり飲んだり~、冷房の効いた部屋でごろごろしていたり~と不規則な生活をしていませんでしたか?
ここでちょっと今までの生活を見直しましょう。食べるべきものをしっかりと食べ、元気な秋を迎えてくださいね。
しかし…暑さも和らぎ気候も安定して来ますと、なぜか食欲がわいてきますよね~
いよいよ食欲の秋!夏の間あんなに食べられなかったことがまるで嘘のよう…食欲のおもむくままに食べてしまうと、あっ!?スカートが、ベルトがなどと言うことも。どんなに美味しくても考えながら食べることが必要です。バランスよく、あくまで腹八分目、そして適度な運動…と言われますが、ではどんな食品を食べたらいいのでしょう。
ここにひとつの目安があります。「マゴタチワ、ヤサシイ」と言うものです。
マ…豆類、ゴ…ごまや種実類、タ…卵、チ…乳・乳製品、ワ…若布などの海藻類、ヤ…野菜類、サ…魚介類・肉類、シ…椎茸・きのこ類、イ…芋類。
一日にご飯や麺・パン類の穀類とこれらの食品をバランスよく摂るように心がけ、美味しい秋を満喫してください!


夏:食事の重要性

みなさんこんにちは!
この度の東日本大震災におきまして、大きな被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。何もかも全て流され、命からがらで避難されたこと、避難所での生活が寒さと飢えでとても厳しい日々を送られ、特に高齢者や乳幼児は抵抗力や免疫力が衰え、体調を崩す人が多いとのことでした。このことは、寒さやストレス、環境等の影響も多々あると思いますが、食事も大いに関係していると思います。
日本栄養士会の報告によりますと、総摂取量の不足、そして特にたんぱく質・ビタミン類・ミネラルの不足によるものだとの事でした。私たちは眠っている間も呼吸などしてエネルギーを消費しています。自動車を動かすためにガソリンが必要なように、人間も活動するためには食べ物を食べることが必要です。日々生きていくためには、好きなものだけを食べれば良いと言うことではありません。私達の身体は色々な栄養素(炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル)から成り立っていますので、健康をつくり、保つためには必要な栄養素を十分に摂取することが基本となります。

【炭水化物】糖質は身体の活動源として最も大切な栄養素。穀類や芋類に多く含まれる。
【たんぱく質】臓器や筋肉、血色素、酵素、ホルモンなどの構成成分として、またエネルギー源ともなり身体づくりの全てに不可欠の栄養素。肉・魚介・卵・大豆・乳製品に多く含まれる。
【脂質】細胞膜の主要な構成成分であり、高エネルギー源。油脂類・種実などに多く含まれる。
【ビタミン】糖質や脂質、たんぱく質のように、血や肉になったりエネルギーになる栄養素ではなく、ごく微量で、他の栄養素の働きをスムーズにする潤滑油のような働きをする。野菜・果物・海藻類などに多く含まれる。
【ミネラル】カルシウム・リン・カリウム・ナトリウム・マグネシウム・鉄・亜鉛・ヨウ素・マンガンなど、身体の機能の維持や調節に欠かせない微量栄養素。海藻類・種実・乳製品に多く含まれる。

以上のように、それぞれの食品にはそれぞれの栄養素が含まれているので、いろいろな食品を摂取することが大切です。バランスの良い食事とは、主食・主菜・副菜を基本に多様な食品を組み合わせて腹八分目で食べる事です。そして食事をするということは、ただ単に栄養をとるだけではなく、精神的な満足感を得ることにもつながります。このような時期に今一度、食べられることへの感謝、食べることの重要性を考えてみませんか?


春:かつお

みなさんこんにちは!
いよいよ春ですね~!3月6日は”啓蟄”土の中で冬眠していた蟻や蛙、虫たちが穴を開けて地上に出てくるということ。草木も芽を出し春を告げてくれます。春の訪れとともに家にこもりがちだった生活を改め、外の清々しい空気を身体いっぱい浴びましょう!
今回は”かつお”のお話しをしましょう。
かつおは、寒い冬の間は南の暖かい海に住み、日本近海には春先の黒潮に乗って北上し、秋には三陸沖でUターンします。まさに鮮やかな季節感を届けてくれる魚です。ですから旬は新緑のころの”初がつお”と秋の”戻りがつお”の2回あります。味の良さでは初がつお、栄養面では戻りがつおがよいのですが、香りと鮮度がよい初がつおが、”目に青葉、山ほととぎす、初がつお”と歌にも謳われるように珍重されています。反面初がつおは脂肪が少ないのでさっぱりとした味わい、戻りがつおは脂がのっていて、まぐろにも負けない濃厚な風味があるので、戻りがつおが美味しいという方も多いです。
買う時の選び方として、切り身で買う場合は、血合いの部分がはっきりしているものを。丸ごとなら、えらが赤く表面の縞模様がくっきりしているものが美味しく新鮮です。
美味しい食べ方としては、一般的にお刺身やたたきがありますね。かつおは水分が多く身がやわらかいので、新鮮なものであっても表面をさっとあぶって食べるたたきがお勧めです。これは臭みを消し、鮮度が落ちやすい旨み成分を閉じ込めるすぐれた調理法です。かつおはにんにくとの相性がばっちりですから、にんにくや生姜・みょうが・葱・しそなどの薬味をたっぷりかけて召し上がってください。そのほかにも、にんにくを効かせたソテー、タルタルステーキ、照り焼き、竜田揚げ等もお勧めです。
現在は流通・保存などの進歩が著しく、季節を問わず世界中の食材が手に入れることができるため、旬ということが消えつつあることは、私たちの食卓にも悪影響を及ぼします。私達も地元の食材を見直し、食卓に季節をとり入れる努力をする必要がありますね~



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